しろきつねおすしー図書館

おそうざいコーナーみたいなぶろぐ

ぜんまいじかけのなにかの部屋⑨

うひょー!

さいこーだっぜー☆ミ

 

少年三人のうちの一人が

小高い丘から、

川へ飛び込む。

 

ぷはあ!と

気持ち良さそうに川から上がる。

少年の背には白いしっぽがあり、

水しぶきをあげながら震える。

 

他の二人は丘の上から

少年の様子を伺う。

 

眼鏡をかけたまじめそうな少年が

丘の上から叫ぶ。

 

ねー!もうそろそろ帰ろうよ!

里から出ちゃいけないって

言われてるだろ!

 

ぶるぶると

水しぶきをあげなががら

わんぱくそうな少年が叫ぶ。

 

いーんだよ!

今は誰もいねーんだから!

羽根のばせんのは

いまぐらいしかないだろ!

 

怪力姫も!

くそまじめなもやしも!

じーさんもいねえ!

大人たちもいねえし、

勉強しろってうるせーのもいねえ!

さいこーだろい!

 

めがねの子が反論する。

でも、誰か来たらどうするんだよー!

きょう、帰ってくるかもしんないし!

 

ふくよかな少年も続けて話す。

おいらも、もうはらぺこでだめだ。

帰ってだんごくいてえ。

 

誰も来ねえし、

おまえは、だんごの話しかしねーな!

魚でも捕って食やいいだろ!

 

 

はぁ…、

 

現実に戻され、

遊ぶことが

つまらなくなった少年が、

河原にすわりこみ、

さみしげに、ぽつりと

本音を漏らす。

 

誰も来やしないよ…。

誰も戻ってこねえじゃねえかよ…。

 

 

眼鏡の子が山を眺めながら

思い出したように聞く。

ねー!

ぼくたちも、カムイの山にそろそろ行かないと

いけないんじゃないの?

修練とかさ、なんにもしてないよぼくたち!

 

いいんだよ!

おれらは!

とくになんか能力があるわけでもないし!

なんにもできなくてもいいの!

おれなんて、指から色付きの珠しかだせねえし!

殺傷能力なんて蚊よりないわ!

 

おいらはうまいだんごたべたい!

 

ほら!こいつはだんごしか

あたまにない!

おれも、遊んだりいたずらしたり

してたいの!

修練なんてやりたくねーの!

行かなくていーんだよ!

やりたくてやるやつだけ行けばいいんだよ!

 

おいらも、修練よりだんごたべたい!

 

おっ!意見がいっちしてきたな!

いいぞ!だんご食って寝てりゃいいんだ!

やっほー!だんごだんごだんご!

 

眼鏡の子もうなずく。

みんな行かないならぼくもやだ!

そうだね!

ぼくもふたりと一緒にいるほうが

いいや!

そうそう!のってきたじゃない!

 

きゃっきゃうふふと眼鏡の子が

だんごの子を川へ落とす。

 

大きな水しぶきに

少年がずぶ濡れになる。

 

うかぶだんごの子と

わんぱく少年が

眼鏡の子を追いかけまわす。

 

おれは、

笑いながら生きたいんだよ!

能力なんていらない!

 

能力なんて、ないほうがいい。

能力なんてあるから、妬まれる。

能力なんてあるから、狙われる。

能力なんてあるから、利用される。

能力なんてあるから、怖がられる。

能力なんてあるから、殺されるんだ。

 

能力なんてあるから!

誰も、帰ってこない!

だから、

みんな嫌われて殺されるんだ!

みんな悲しむんだ!

 

さっきまで笑っていたはずだった少年から

ふいに、涙があふれる。

 

どうしたの?

けがでもした?

 

なんでもない…。

 

だんごか?

はらぺこか?

 

ちがう!

 

どした?

2人が心配そうに寄り添う。

 

楽しい…。

楽しいんだ。

 

うん、うん。

ぼくらも楽しいよ。ね?

うん、おいらも楽しいぞ。

 

失いたくない…。

 

え?

 

失いたくないんだ…。

 

ぼくらもだよ!

おいらもだぞ。

 

三人で一緒にいたい…。

いつまでも!

 

うん、そうだね。

おいらもおなじ。

 

帰ろうか?

うん。

 

だんごもくいてえ。

うん。

 

また、ひみつのばしょで

星見ようよ。

うん。

 

だんごよりうまいものってあるかな?

うん?

 

だんごよりうまいもの。

うん、あるんじゃない?

 

探しにいこうよ。

いいね。

うまいものさがし!

おいら、わくわくしてきたぞ。

行くか!

そうだね!

行こう!

わーひょー!

たのしみだなー!

 

ぽちゃんっと

川で魚がはねる。

とんぼが平和に弧を描く。

 

夕暮れのなか、

少年きつねたちが

いつのまにかまた

わきわき笑いながら

里へと帰ってゆく。

 

 

ははは!

大福?なんだそりゃ。

しかも、豆かよ!

 

大福に豆!(笑)

しんじらんね~

 

ほんとだって!(笑)

うまそだなあ!

 

 

ん?なんだ?

だれか倒れてる。

 

しっぽ!?

きつねか?

だれだ?

 

なんだ?

おかしいな。

 

だんごの子が

倒れてる人に近づく。

 

 

まて!

離れてろ!

 

だんごの子が素直に

引き返す。

眼鏡の子が息を飲み小声で聞く。

どした?

 

なんかおかしい。

お前らはカムイの山に行け。

近くまで行けば

でけーめがねが来てくれる。

 

わかった。

君はどうするの?

 

おれも、後から行く。

どっかの仲間かもしんないから、

様子みてカムイに行く。

 

行け!

護衛になりそうなやつ連れて

走れ!

 

わかった!

小さくなにかを弾くと

熊の置物が現れ、

ふたりをくるくると護衛する。

 

こっちも、だれかカムイから呼んでくる!

よし!

行け!

 

 

二人が遠くへ見えなくなるまで

見届けると

少年が

倒れているきつねへと歩を進める。

 

 

………。

 

少年が指から

七色に光る石の珠を出しながら言う。

 

ねえ、おばさん!

いや、おじさんか?

 

白々しいんだよな。

あんたにんげんだろ?

 

答えたくないなら

答えなくてもいいよ。

 

ぜんぶ撃ち込んでみるまでさ。

 

そう言うと、

光の珠がふくらんで

七色の虹を作り

倒れている者へ放たれる!

 

ぐわっ!と少年のからだが

後ろへと弾かれながら

虹が地面に突き刺さる!

 

煙をあげる地面に

いたはずのなにかが消える。

 

!!

いない!?

 

やっぱりきつねじゃねえ!

 

どこからか、声がする。

 

なぜばれたのかしら?

わかりっこないはずなのに…。

 

その言葉に

少年が何かに気づく!

 

はっ!おれはねえ!

何でも見通すちからがあんだよ!

見通すちゃんなんだ!

ははは!

 

嘘だけどな…、

おまえはそこだろ!

 

虹をピンポイントで

何者かに放つ!

 

!!

こいつ!

見えているのか!

何者かがたじろぐ。

 

ふふふ!

おもしろい子だね。

先にこちらに来て良かった。

そのちから、わたしに

頂けるかしら。

 

近づいてくる!?

みえる!ちゃんと見えるよ!

 

あの方はこのために生きてた!

みんなだいじょうぶだ。

 

だけど、

修行さぼった罰だな!

やべー!

もう、虹でねーわ!

 

くそっ!

 

 

 

あら?

おわり?

 

ざんねんね。

綺麗だからまだ

見ていたかったのに。

 

それではごきげんよう

素敵な夢をあげますね。

 

 

赤い血に染まる三日月のような

大きな鎌を振り上げる。

 

カムイ!

あいつらを守って!

ーーーー🌙ーーーー

プツン

 

 

 

 

なーんてな!

 

ばかか?

おじさん。

 

眠るのはお前だよ!

 

ぱーん!!

脳天に虹を射つ!🌈

 

 

 

何!?

何が起きた!?

 

撃ち抜かれた脳天に

ぐらぐらと

世界が揺らぐ。

 

まずい!

退かねば…。

 

スッと毒を撒き散らし

消える。

 

!!!

 

汚ねぇ!

うわ、

あっぶね!!

 

 

しまった!

逃げられた!

 

 

はぁ、はぁ、はぁ

なんだあの小僧は…。

 

ただのよわっちい狐のはずだ!

ぜぇ、ぜぇ…、

 

しかし、

遊びのような虹の珠で良かったか、…。

痛みは何もない。

 

多少目は眩むが、…。

 

ぐ、…。

なんだこれは…。

 

脳内に

虹のようなゆかいな曲と

きらきらした夢が広がる。

 

ぐ、…。

幻か…!

おのれ、狐め!

 

 

腕の血管に

毒針を

差し込む。

 

すーーう、と

正気に戻り、

冷静さを取り戻す。

 

さらに、

何かを差し込むと

血管がめきめきと

うなりをあげ

形を変える。

 

少年、君の力はわかったよ。

 

次はその脳天を毒で満たして

あげるね。

 

ふふ。

また 会いましょう!

 

刻よ!わたしをうしろへ…、

そこに連れていけ!

ーーーー⭐ーーーー

プツン

 

 

 

おしまい⭐🍎

 

ー備考ー

このおはなしの曲のリンクはこちらです。

曲あり、曲なしどちらでもお好みで

お読みくまさい(笑)

 

前半~3少年の遊び

https://youtu.be/0kMwiH4x3kk

(predawnあじさいの花)

後半~戦闘、模する者

https://youtu.be/0zUE1E3e7Mg

(spangle call lilli line⭐nano)

 

ーぜんまいの部屋各話EDロールの曲はこちらー

https://youtu.be/zx1obWTMksw

(なきごと⭐メトロポリタン)

ありがとうございました!

 

 

 

 

 

ぜんまいじかけのなにかの部屋⑧

脱走してんじゃねーぞ!

こら!

野太い叫び声が聞こえる。

 

うるさい声と

よろめく足元に

視界がゆがむ。

 

半妖…、

ありが…、

でも…、こ…先は

君…、殺…、未、な…、だ…、

 

さ、…、ら、君なら

い…、か…、、救…、…。

因果を…、変え…、れ…。

ま…、あ…ま…、う

あ…、こを頼…、よ…、

 

 

 

鼻から下を布巻した

大柄の男が

きつねを追い詰める。

 

次いで、後ろから

声がする。

 

狐の姿を模した

何かが影を映す。

 

あらあら、

毒がまわって

瀕死じゃないですか。

可哀相に…。

 

わたしにその跳躍の力とやらを

教えていただければ…、

助けてあげてもいいのよ。

 

やっ…、りだ…。

やっぱり…、こ…、に来…、た…。

白いきつねは笑顔で

呟く。

 

あり…と…、、みんなの…、

おかげで…、みつけたよ…。

 

白いきつねの

目に力が戻る。

 

なんだ?

こいつ、何を言ってる?

野太い声が近づいてくる。

 

 

キッときつく力をこめ、

毒を数秒だけ薄くし、

ことばを紡ぐ。

 

跳躍の…、力は

わたしが…、死ねば…、

次の者に受け継がれる…。

 

それは…、いちばん、

近くにいる

あなたかもしれませんね☆

 

にこりとわらい、

大柄の男を指差す。

 

 

きつねの形を模したものが

慌てて近づき、

姿を見せる。

 

あ、

こんにちはー。

はじめまして。

 

あなたが元凶でしたか。

御逢いできて光栄です。

ははは。

いてて。

 

 

ごめんなさいねと、

狐を模した者が

手を添える。

だいじょうぶかしら?と

わざとらしく手を撫でると

大柄の男に

顎で指図する。

 

ありがとうございもす!

すてきな夢を☆ミ

しろきつねが世界に感謝を込めて

わらう。

 

その笑い声をかき消す

大きなこぶしが一撃

きつねのからだを砕く。

 

空間に衝撃が走り、

はじけとんだ音が

不協和音のようにゆがんで消える。

 

ぐったりとした

きつねの身体が

冷えてゆく。

 

模した者が

毒針を刺し

白きつねの体を毒が

さらに蝕んでゆく。

 

元凶は君になってもらいます。

毒を吐き出した白いきつねさん☆

 

光のようなものが

模した者に移る。

 

……。

 

命はついえた…。

添えていた手を静かに離す。

きつねさん、

素敵な夢をくれて有難う。

 

そっと、あたまをなでると

その場を立ち去る。

 

沼地に沈めろ。

 

顎で使われた

大柄の男が、

苛つきながら

きたないものを扱うかのように

沼地に蹴り飛ばす。

 

…🌙

 

  ……🌙

静寂。

カタカタと何かが回転する。

……🌙

    ……🌙

歯車はまわる。

時が流れる。

 

遠く、都で

白い閃光が上がる。

 

なんだ?今のは…。

 

関所を越えて

北へ向かう山道。

 

七つの刀を器用に繰り出し

前方を固める兵士を次々と

なぎ倒しながら

駆けてゆく侍が呟く。

 

お侍さん!

後を追う小柄な少年もまた

槍と弓を器用にあやつり

中、長距離の追っ手を地面に転がす。

 

この先の山道を東へ!

森に入ります!

 

承知!

 

二刀をくるくると

回転させ、背後にいる少年に投げる。

 

腰を一段降ろし、力を込める。

侍の駆ける速さが増す。

 

壱、弐、参、死、悟!

順番に刀を繰り出しては

切り捨ててゆく姿は

まるで…阿修羅のようだ…。

 

……。

 

ようやく、

大将様のおでましか。

 

そう呟くと侍は

鋭く睨み、憐れむように呆れ、

そして、集中する。

 

駆けながら、

五刀をすべて鞘に収めると

前方で待ち構える大柄の男に

両の手を広げる。

 

動きを止めぬまま

両脇から、何かを取り出し、

目の前に転がす。

 

なんだ!?

筒か、?

大柄の男が警戒し、1歩退く。

 

侍が無防備のまま、

まっすぐに突進する。

 

筒の動きが止まり、

その場にはらりと

巻物が広がる。

 

なんだ?文字か!?

 

阿呆は見るー^^☆

 

その文字を見た

大柄の男の頭が

沸騰し、

野太い雄叫びを上げる。

 

 

そのまま

にやつく侍が懐に飛び込む!

お前だな?

きつねを虐めたのは?

 

睨み付ける侍に

大柄の男が迎え撃ち、

怒りとともに

重量感のある刀を振り切る!

 

お侍さん!そこから東へ!

 

承知!

侍は馬鹿にしたように

トンっ と刀に触れると、

東へ飛ぶ。

 

背後の少年も何かを飛ばす。

 

大柄の男の目前で

ばさっ、と

傘が広がり、

次いで、

回転した二刀が

弧を描き両脇から

大柄の男の首を跳ねる。

 

録…!死地…、…。

どすん!

と大きな音をたてながら倒れ、

 

首が巻物の文字の元へと

転がってゆく…。

 

見開いた目はその文字を

凝視したまま静まり返る。

 

阿呆…、。

 

 

速度を落とさずに

東へ駆けながら

2人は話す。

 

お侍さん?

 

ん?

 

あなたはにんげんですよね?

 

ああ、そうだが。

 

何故、私たち

きつねを助けるのです?

 

 

昔の恩義…、かな。

 

いや、違うな

好きだからだな!

ははは!

 

いい歳をした

ざんばら髪の男が

屈託なく笑う。

 

 

子供のように笑う

この方は

ほんとうにきつねが

好きなのだなと思った。

 

お侍さんは、

これからどうするのですか?

 

そうだな、

この国を変える。

ひとつにしなければ

ならない。

そんな気がするのだ。

 

そうですか…、

わかりました。

では、わたしもちからをお貸し

します。

 

あなたの目指す世界を

見てみたい。

 

たとえそれが叶わなかったとしても、

歴史の裏に

埋もれてしまったとしても、

 

わたしたちが

残しましょう。

後世に。

 

侍の男は

にこりと照れながらも、

鋭く先を見る。

 

あ、

そういえば、

阿呆は見るー^^☆は

いつ描いたのですか?

 

ははは。

走りながらだ。

!!

ええー、なんて器用な…、

 

おどろいた。

でも、この方といると

楽しそうだ。

ふふふ。

 

 

……🌙

    ……🌙

 

 

 

大柄の男の首を

何者かが足蹴にする。

 

 

刀に、傘か…。

風に鼻を鳴らす。

 

まだ遠くはないな…、

 

みえる、みえる。

狐の走る姿がみえる。

 

狐め…。

 

跳躍するにはまだ、足りぬ…、

狐のちからすべて頂くぞ。

 

 

北の方角を指す

大柄の男の首が

きしきしと音をたて、

何者かの籠める足に

潰され、弾け飛ぶ。

ーーーー⭐ーーーー

プツン

 

 

 

 

おしまい⭐🍎

 

ー備考ー

このおはなしの曲のリンクはこちらです。

曲あり、曲なしどちらでもお好みで

お読みくまさい(笑)

 

前半~跳躍するきつねと模する者

https://youtu.be/pKEyFMB6a30

(古川本舗⭐ 春の)

後半~戦闘、侍と少年と奪う者との対峙

https://youtu.be/0zUE1E3e7Mg

(spangle call lilli line⭐nano)

 

ーぜんまいの部屋各話EDロールの曲はこちらー

https://youtu.be/zx1obWTMksw

(なきごと⭐メトロポリタン)

ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

ぜんまいじかけのなにかの部屋⑦

ぼくはにんげんがだいすきだよ!

 

あのね、

おともだちができたんだ!

 

うん、いつも

ゆうがたまであそんでくれるの。

 

そう!

おじぞさんのとこ!

 

ぼくしらなかったけど

女の子なんだって!

 

かわいいっていってくれたの!

 

あの子はどうしているかな?

っていつも気になるの!

 

おかあさんが

いないんだって!

 

あしたもくるかなあ。

どんぐりいっぱいめっけたから

あげるの!

 

おえかきもね、

じょうずになたんだよ!

たくさんかいたから!

 

そう!

だんだんおともだちも

ふえたんだ!

 

みんななかよしだよ!

 

 

え?

うーんとね、

ここにいれば

またあそんでくれるって!

 

ここからうごいちゃ

いけないって

言ってたから

やくそくまもったよ!

 

そうそう、このまえね

ひとりぽっちの子がね、

おやつくれた!

 

いっしょにたべたよ!

おいしかったなあ。

あれはなんてたべもの?

 

あまいたべたい!

 

でもねー、

ここにせきしょができるから

おわかれなんだって!

 

せきしょってなにかな?

あっちとこっちで

おわかれみたいなんだ。

 

やだなあ。

 

すこし待ってたら

またあえるかな?

 

そだ!

ぼうしくれた!

かわいい

おにんぎょうも!

 

うん!

まいにちここで

待ってみる!

 

おほしさまみえるよ!

いっぱいみえるの!

 

たのしみだなあ。

ずっとまってるよ!

ぽゃ。

はなみずちょろり。

 

 

 

白いこぎつねが

ちりんちりんと

首につけた鈴を鳴らし、

からだを引きずりながら

お地蔵さんのよこに

ちょこんと座る。

 

はなみずが

ちょろりと

たれる。

 

 

そのまわりだけ

小さな花が咲き

かわいい鈴の音がする。

 

供えられていた

人形に

ふわりと風とはなみずを送り

話しかける。

 

 

てんぐさん

おねがいがあるの。

あのこたちに

おてがみとどけてくれる?

 

てんぐ人形が

ふわりと浮かび

魂が宿ったように

こくりと

うなづく。

 

 

ありがとう!

おへんじくるかしら。

たのしみだなあ。

おほしさま

おねがいちます。

 

☁️    ⭐

    ☁️~👺

 

 

 

村の中はどうだ?

だれかいるか?

 

 

もう、ひとっこひとり

いやしませんよ。

こんなとこ。

 

 

だからだよ!

廃村になってだいぶ経つが…、

妖怪でもでるんじゃないだろうな?

 

きつねはこの先の関所の方角から来る

なんて噂もある…。

 

 

やめてくださいよ!

妖狐退治のあとに

化け物が都をめちゃくちゃにしたなんて

話もあるんですから!

 

うーん、まあ、

あれはなんだったんだろうな。

 

雷でも落ちたかのように

なんともひどい有り様だったそうだが…。

 

きつねに化かされたんですかね。

なんでも、刀も銃も鎧も

木の葉に変わっていたそうで…。

 

そこにいた兵たちは

下着姿で

しあわせそうな顔をして

目を覚まさなかったそうですよ。

はっぱいちまいだったなんて

噂も…、

 

やめなさいよ!

なんか怖くなってきた。

 

冗談ですよ!(笑)

でも、

たましいだけ

どっかに連れていかれたのかも…

しれませんね…。

あわわ。

 

ぐにゃりと変顔をする。

 

やめろ!

その顔はなしだ。

怖い!

 

でも、ここ

白きつねのいい話の村でしょ?たしか。

 

白いこぎつねが村にいると

しあわせになる。みたいな。

 

そうだが…、

妖狐が毒を吐き、世を苦しめてから、

村の大人たちは

そのこぎつねの足をちょんぎって

追い出したんだとさ。

 

えー、

なんでまた。

 

足をちょんぎって

お偉いさんがたに

きつねは退治したとみせるためだよ。

 

大人ってこわいですね…。

なにかわいこぶってんだ!

おまえもその大人だろ!

 

へぇ、で?

なんでまた廃村に?

 

きつねを追い出したもんだから

寂れたんだろ。

いや、毒…。

たしか、最初に病が起きたのは

この村だったか…。

そのあと、

大人たちは神隠しにあったとかなんとか。

 

え?じゃあ、子供たちは?

子供たちはどうしたんです?

 

天狗が連れ去った…。

みたいな話もあるな。

 

なんか、いやですね。

天狗って何するんですかね。

 

しらんよ!

ぱぁ、ぱぁなんかしてるんじゃあないの?

 

ぎゃあーーーっ!

うしろ!

 

何!

そういうのやめろ!

 

いや、ほんとに

うしろになんかいる!

 

え?

 

ほんとうだ。

 

赤い丸いなにかがいる…。

なんだ?

 

赤いてんぐみたいななにかが

生き生きとおしごとをしてる。

 

ぱぁ。

 

はなみずちょろり。

 

 

廃村に

不思議な生き物がいる…。

 

手紙を廃屋にすとんと入れる。

 

数件の廃屋をまわったかと思うと

くるりと回って

はなみずの渦をつくり

姿を消した。

 

 

なんか、

鼻…、長かったですね…。

ああ、長かった。

 

あれ、天狗じゃないですかね…、

ばかいえ!

あんな天狗がいるか!

 

でも、たしかに天狗だったな…。

はい…、はなみずたらしたてんぐでした…。

は は は は は。

 

 

手紙だ!

手紙を見るぞ!

 

なにか毒に関する重要な情報が

得られるかも

しれん。

 

やめましょうよ!

不吉ですよ!

 

いや、わたしの勘に

間違いはない!

 

天狗だとすれば…、

これは、

毒の謎を解明できる重大な

手紙にちがいないっ!

 

 

1通の手紙を開ける。

 

なんだこりゃ、

きたねえ字だな。

 

 

おげんきですか。

ぼくもげんさです。

 

げんさ?げんきじゃ

ないですかね。

いいんだよ!早く読め!

はい…。

 

はやくちことば

いえるよになりましたよ。

 

かえるぴょこぴこょ

みぴょもこも

むぴょもこも

 

またあそぼうね。

まってるよ。

 

 

なんだこれは!

むつかしい!

なにかの暗号ですかね?

 

ガマの妖怪でも

でるのでは?

 

怖い!

やめなさいよ!

かえるがいちばんきらいなんだから!

 

へぇ、

これは、いいことをきいた。

 

きゃっきゃ、もちゃもちゃしてる

兵二人をよそに、

 

ふわりふわりと

赤い丸いてんぐさんが

こぎつねのもとに帰ってくる。

 

ありがとう

てんぐさん!

 

みんないた?

きょとんとした顔で

あたまの上にのる。

 

そっか、

いないのかな。

ざんねん。

 

 

じゃあ、さがしてくれる?

 

丸いものが

こくりとうなづく。

そして

心配そうに寄り添う。

 

あのね、

ぼくは動けないの。

あしがね、2つないだから。

 

 

え?

ちがうよ。

とられたんじゃないの。

あげたの。

 

ぼく、あげたんだよ!

みんなにあげたの!

 

おじぞさんのとこに

にげなさいて

守ってくれたから!

 

うん、

だいじょうぶ。

お地蔵さんのふり

するから。

 

 

じゃあ、てんぐさん

おねがいちます☆

 

ぷく。っと

おはなから

はなちょうちんをだして

地蔵にはじく。

 

ぽこん。と音をたてて

こぎつねは

お地蔵さんに変わる。

 

ちりん、ちりんと

かわいい鈴の音が

星空にひびく。

 

おやすみなさい☆ミ

またあした。

ーーーー⭐ーーーー

プツン

 

 

おしまい⭐🍎

 

 

ー備考ー

このおはなしの曲のリンクはこちらです。

曲あり、曲なしどちらでもお好みで

お読みくまさい(笑)

~ちいさなきつねとてんぐさま

https://youtu.be/E2NtPlQzSsY

(arthur⭐永遠)

 

ーぜんまいの部屋各話EDロールの曲はこちらー

https://youtu.be/zx1obWTMksw

(なきごと⭐メトロポリタン)

ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

ぜんまいじかけのなにかの部屋⑥

おはようございもすせんせ☆

 

少女が礼儀正しく、すこし

おちゃめに笑顔をみせる。

まるい眼鏡が少し大きいのか

ぺこりとするたびに

鼻からずれてしまう。

 

おはようございます、

君はきょうも

かわいいですね。

 

長髪を綺麗に結い上げた

背の高い男性がやさしく微笑む。

 

どこか世離れしたような

おちつきがあり、やさしい。

そのここちよさに

皆がしぜんと集まる。

 

迷いびとには

人も人ならざるものも

分け隔てなく接する。

 

欲深きものは

迷い、ここにたどり着くこと無く

おなじじかんをさまよう。

 

 

少女が迷いびとに

道案内をしている。

 

せんせは、

圧がなにもない人、

とでもいいますか、

男性でもあり、女性でもあるような…。

自然と調和していて

存在をただ形として

私たちにみせてくれているだけ

のような。

 

でも、こころはどこか閉ざしていて

ひとりで景色を眺めていることを好みます。

 

嘘は見抜かれますので

つねにすなおになんでも

おはなししていいですよ。

 

あなたはどんな旅をしてきたのですか?

苦しい悲しい長い旅でしたね。

 

あ、わたしには話さなくてもいいですよ。

おかおをみればわかりますから。

 

すなおに生きてもいいんです。

わたしも

いまはとてもここちいいですから。

 

ひとりで黙々と話す少女は

花とでも会話するかのように

スキップをする。

そのたびに

めがねはずれる。

 

~☁️   

     ~☁️

 

 

カムイの住む山。

雲海が広がる景色。

時々、雲の隙間から大きな湖が

顔をだす。

 

空気は澄み、

見える景色は

透明をより透明にしたように色を見せる。

 

人の住む場所とは隔離されたような

穏やかな古き良き時代を思わせる建築物。

 

そこには人ならざるものが

学問、医療、修練、研究していた。

 

せんせーー☆ミ

少女が笑顔で旅人を連れてくる。

 

このひと、けがをしてるの。

こころに!

なおる?

 

先生がやさしく

少女のおでこをこつんと鳴らす。

 

しー、口にだしちゃだめだよ☆

 

こころはあの人のもの。

そこを君が

そとにもらしてはいけない。

 

じぶんからだしてもらわないと、

なおるものも、なおらないんだ。

 

あ、そうでした。

ごめんなさいせんせ!

すなおにぺこりとあやまると

めがねがずれたまま

どこかへとかけてゆく。

 

その姿に微笑ましく思いながら

つぶやく。

 

君はひとのこころのわかる

やさしい子だよ。

 

一目で迷いびととわかる子は

なかなかいないし、

わたしが出向かなくても

君がみつけてくれる。

 

………。

 

 

さて、あなたは

何者ですか?

 

そう言いながら

あごに手を添え

旅人に少しきつい目で

訪ねる。

 

選別する。

 

血の匂い…。

確かに、こころに深い闇を感じる。

身体にも傷があるな。

なんだ、この異様さは…。

 

旅人が顔を上げ

薄くなった黒目を見せ、

訪ねる。

 

おまえはだれだ…。

 

視力が衰えているのか、

こちらを見てはいるものの

虚空を見ている。

 

 

わかった。

話さなくていい。

身体も思った以上に重症だ。

見た目ではわからないが

少々、毒にも蝕まれている。

 

治療をする。

こころのほうはそのあとです。

 

旅人が、声をだす。

ここは懐かしい…。

そんな感じがする…。

 

わかった。

もう、話すな。

 

空気の違いが感じとれたのか

わたしの言葉を

無視して話し始める。

 

 

おれは、罪を犯した…。

怒りにまかせて…、

罪を犯したんだ…。

 

 

ふむ、

この旅人は

人ではないのか…、

今までにない

なにか違和感を感じる。

しかし…、

 

 

俺は半妖だ…、

人と化け物との間にうまれた血を

継いでる…。

 

 

なるほど。

だが、いまは治療が先です。

 

何があったのかは

知らないが

手に力がこもるのが伝わる。

 

 

どこに行っても、

馴染めなかったんだ…、

 

人のなかでも、化け物のなかでも!

おまえはどちらでもないと…、

禁を犯した者の血だと。

 

こどくだったんだ…。

こどく…、

なんどもなんども

同じ痛みが、言葉が、やってくる。

退いても退いてもまた新しく

着いてくる!

では、おれはどこで生きればいい!

 

語気は強いが…、

鼓動が弱い…。

ふむ、

この世界のたくさんの闇を

この子はひとりでぜんぶ受けてきたのか。

 

わかりました。

君はとてもつよい子だ。

ひとりで戦ってきた。

何と?

 

世界とだよ。

 

 

見えるすべてから

忌み嫌われる。

鋭い刃をむけられる。

それをすべて君がひとりで請け負ってきた。

 

君は誰よりも強い。

そして実行したね?

 

それは君の罪じゃない。

世界が君を通して実行させたんだ。

世界がそうならば

なるべくしてなるんだよ。

 

君には友はいなかったのかい?

 

ひとりだけ…、

ひとりだけいたんだ…。

 

きつねの…、

白い、きつねの…半…、

 

なるほど。

見えました。

あの跳躍する子ですね…。

あの子なら…、

 

でも、殺された!

きつねに殺されるところを

俺は見たんだ…、!

 

あの、吸い込んだ毒は軽かった!

あの程度じゃあの人は死なない!

 

旅人は、

目を見開き

見えない目で

過去を見る。

 

俺は、俺は行ったんだ…、

妖狐に捕らえられるあの人を救いに!

 

狐だ…。妖狐!

あの人のからだに毒が増えるのが

見えた…。

 

だから、封印した!

妖狐は全員!

 

でも、違ったんだ…。!

違う…。!

何だった?

蛇か?オロチか?

化けていたのはなんだ!?

 

錯乱する。

 

抵抗もせず、

封印されながら、

彼らは俺を許した。

 

もう、止められなかった!

いったん発動した刻はもどらない。

 

止めようとした!

でも、!

止まった刻の中では

動き出すぜんまいは

止まらなかったんだ!

 

震える身体から

たましいが叫ぶ。

 

不足していた。

真実を見抜く力が不足していた!

だから、あの人は

来るな!と怒鳴ったんだ。

 

吐き出すものがなくなり、

嘔吐する。

 

 

 

ふむ、

語気と共に

鼓動が強くなった…。

熱いこころを持っているな。

 

あなたのこころは充分、

わかりました。

では、

治療を始める。

 

 

あの子はあなたを救った。

痛みをもって

あなたに真実を見る目を教えた。

 

あなたには底知れないちからがある。

人であり、人ならざらる者でもある。

 

誰よりも深く、どちらの心もわかる。

誰にでもできることではない。

 

罪を糧にして進みなさい。

あなたはこれからの

この世界の英雄だ。

 

どちらの心も

救えるのはあなただけだ。

 

ここで養生し、力をつけるのです。

封印は解けますか?

やり方がわからなければ学べばいい。

力の抑え方がわからなければ学べばいい。

 

認めます。

あなたの存在をわたしが認める。

 

半妖よ、

人の振りをしなくてよい。

ここで生きろ。

わかったか?

 

 

…。

 

返事はなしか…。

わたしへの、

信用はまだだな。

 

それは、仕方のないこと。

 

ではわたしも覚悟を決める。

信用されるまで

諦めないとしようか。

 

 

まあ、

信用できなければそれでいいよ。

そういうわたしも半分妖怪のようなものだ。

にこりと笑う。

 

 

見えたかどうかはわからないが

旅人の表情が少し変わる。

 

ふむ、

ある意味、

あなたが封印してくれて

良かったのかもしれません。

 

いまの時代にきつねが生きるのは

命にかかわるからね。

 

 

うむ、

しかし、もしや、

それも、見越していたのか…、

あの子は。

 

 

まったく、あの子は

何人の英雄を

救うつもりなんだ…。

 

 

 

 

旅人を

治療用の床に寝かせる。

 

すーーっと風を呼び、

そっと

まぶたに手を添える。

 

ひんやりとした

ものが伝わる。

 

君の視力が戻るかは

わからないが、

光が見えるかい?

 

 

見える…。

 

 

よし、では

大丈夫だ。

 

 

では、目を閉じて。

そっとまぶたに手を添える。

こんどは暖かさが伝わる。

 

ずっと忘れていた

あの人の笑う顔がうかぶ。

 

………。

 

君には友を想うこころがあるよ。

だいじょうぶだ。

 

それが君の軸だ。

 

では、治療をはじめる。

すてきな夢を☆ミ

ーーーー⭐ーーーー

プツン

 

 

おしまい⭐🍎

 

 

ー備考ー

このおはなしの曲のリンクはこちらです。

曲あり、曲なしどちらでもお好みで

お読みくまさい(笑)

~カムイの住みかと咎人

https://youtu.be/DSvksh6d21w

(matryoshka⭐sacred play secret place)

 

ーぜんまいの部屋各話EDロールの曲はこちらー

https://youtu.be/zx1obWTMksw

(なきごと⭐メトロポリタン)

ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぜんまいじかけのなにかの部屋⑤

何であいつばかり

あの人のお供なんだよ!

 

私が一緒ならあんなことには

ならなかったんだ!

 

白い肌の女が叫び、

その怒声とともに

大きな岩が割れる。

 

その岩が砕ける音に

細身の眼鏡の男がやれやれと

溜め息をつく。

 

もう、その辺にしてください…。

あなたという人は、

ほんとうに…、

 

うるせー!

いつもお前とばかり

組まされてイライラしてんだ!

ぜんぜんつまんない!

ときめかない!

 

女は一撃で

壁を壊し、外へと走り出して行く。

あーっ!もう、

ちゃんと直してくださいよ!

 

少し集中した男が

手をかざすと岩は元に戻り、

壁の穴から女を追う。

 

 

走りながら

ふりむきもせずに

ゆびをくるりとまわすと

壁が静かに音もたてずに

ふさがる。

 

男が鼻を一瞬、

スンッと

短い呼吸をしたかと思うと

どこかへと消えた。

 

 

忍の者か…、

少し調査が必要だな…。

 

女を追うか…、

そのほうが

わかりやすそうだ。

 

 

 

女の叫び声が聞こえる。

その声と共に

大柄の男が

吹き飛ぶ。

 

 

あーっ!

また…。

細身の男があたまを抱えながら

女をたしなめる。

 

なにをしたんです?

ちょっと邪魔だから吹き飛ばした!

 

はぁ!?

やめてくださいよ!

死んじゃいますって!

 

だって、こいつ

山賊だぜ。

悪いことしてた!

 

山賊なんて相手にしなくても

いずれかってに滅びますよ!

私たちには他にやることがあるでしょ!

ここは京なんです。

北国のようにはいかないんですよ!

 

あー!うるせー!

だまれ!もやし!

おまえのはなしはつまらん!

酒だ!酒…、

 

ちょっとまて、いや

待ってください姫…。

 

なんだ?

都のほうが騒がしいな…。

 

姫はやめろ!ばか!

 

大丈夫です。

そこまでやれば

姫には見えませんから…。

 

おい!

埋めるぞ、おまえ…。

 

女の

火がつきそうな口元をおさえ

男が眼鏡を外す。

 

あれは…。

きつねか…、!

 

だれだ!?

だれが殺られた…!

 

南部のきつねか!?

 

女の目を抑える。

周囲の

風向きが少し変わる。

人々の声が聞こえる。

 

人の子の英雄が

化けぎつねを退治した…、

人の子の

英雄もまた戻らなかったそうだ…。

 

ひそひそと、聞こえる声と

喜びの声が木霊する。

 

兵士や街人が

意気揚々ときつねの骸を

木にくくりつけ

城へと向かう。

 

なんてことだ…。

やはり、戻るべきではなかったんだ。

 

旅の途中、

我々も何者かに襲われた…。

めちゃくちゃにしすぎなんですよ!

この姫は…、!

もう少し、早く着いていれば…。

 

!!?

姫がいない!?

 

気づくと、

雄叫びをあげながら

兵士を次々と吹き飛ばす姫の姿が

見えた。

速い!

 

男が眼鏡を投げ捨てる。

 

その先には大粒のなみだを

撒き散らしながら

回転する女がいた。

 

その身体から

どこにそんなちからがあるのか。

直線的な動きだが

無駄がない。

両手、両足、すべてから繰り出す

衝撃、しなりは

美しい舞のようだ。

 

円上に都の姿が変わる。

静まりかえる都。

女、子供、街の男は

へたりとその場に座り込む。

 

悪意のない者を避けて

舞っていたのか…、!

なんて…、

 

いや、気づかなかったが

あの男も、一緒に舞っていたのか!

 

女は天を仰ぎ、

涙をからだの中心にあつめるように

祈る。

 

男がそっと涙を拭うと

きつねの亡骸を抱いて

どこかへと走り出す。

 

追うつもりで

力をこめたその時。

!!

ザクッと耳元に何かが刺さる。

なんだ?

歯車か!?⚙️

 

どこから飛んできた…!

 

!!

見失う。

目が眩む。

 

意識がなくなる…。

そのまえに、仲間に

調査書を飛…、。

 

 

🌙…… 

   🌙……。

 

 

 

ひとしきり泣いたあと

女が愚痴をこぼす。

 

だから、私も連れていけって言ったんだ!

いつもかやのそとにする!

あの人もそうだ!

私を置いて先に行った!

 

なんであのちびなんだ!

何もできずに見殺しにしたような

もんだろ!

なんで…!

 

男が口を開く。

あの方はあなたの危うさを知っていました。

命を惜しまずまっすぐにあなたは走る。

あなたは、

毒には向きません。

連れては行けないんですよ。

 

あの方はなにより

誰かを失うのを嫌がる。

救えないことに耐えられない。

 

あの方は未来を見通していました。

だから、跳躍する。

救うためにすべてをかけた。

 

あのちびっこを飛ばしたのにも意味がある。

大きな意味があると

わたしは思っていますよ。

 

とはいえ、

そういうわたしもあの方のようには

毒には耐えられない。

 

時間を跳躍するにも、耐えうる身体の強さが

ありません。

不足していたんです。

連れていってはもらえなかったのは

あなたと同じぐらい残念でした。

 

知恵と学問、頭のキレでは

わたしのほうが少々、上でしたがね…。

 

あー、おまえの話しは

ほんとうにつまらん。

少し夜風にあたってくる。

 

ふう、

私たちには何ができるのか。

500年、ですね…。

 

何かを残しましょう。

あの子が悲しまないように。

せめて、あの方の物語を

残しておきましょう。

 

あの子がいつか、

未来で

生まれ変わりのあの方に出会えるように…。

 

しくしくと

きしむような香り…、

!!!

なんだ?

大勢の兵士の匂いか…。

 

姫…!

 

あかん!

もう飛びだしとる!

 

 

 

おうおう!

おめえら!

わざわざ御礼参りにきたのかよ!

ひとりで来れねえくそどもが!

ひとり残らずぶっつぶす!

 

そう言い終わる前に

60.70人の兵士が

吹き飛んで行く。

 

姫!

全体的に囲まれてる!

上に飛んで!

 

!!

ん…。なんだ…、

火薬の匂い…。

 

!!!

 

だめだ、姫!

それ以上は飛び込んではいけない!

 

おう!

銃だろ!

言われなくても

わかってんだよ!

 

そう言いながら走り込む先で

大粒の涙が

銃声と共にはじける。

 

いたくねえぞ!

ばか!

 

胸のあたりを撃ち抜かれ

膝を着く。

 

泣いてんのは

いたいからじゃねえぞ!

このわからずやどもが!

 

涙と血をぬぐい、

地面になにかを描く。

 

目を覚ましやがれ!

くそにんげんども!

 

ぶわっと

白い閃光が天に昇る。

 

その刹那、

その血で呼び出した

大きな竜の形をしたなにかが

周囲すべての兵士をなぎ倒して行く。

 

 

ははは。

カタキはうった。

きつねをなめるなよ!

くそが!

 

フゥ、フゥ…。

 

く、口が悪くてすまんね。

じいさんゆずりなもんで…、

 

あ、酒だ、

祝いの酒…。

ありがとう…。

 

酒じゃない、水です!

もう、しゃべらないでくださいよ。

口も悪いんですから!

 

はは、

よし…。全員消えたな…。

 

これでおまえひとりは生き残るだろ…?

やめてくださいよ。

そういうのは!

 

ただでさえ、仲間が少ないのですから!

止血と包帯を巻き付ける。

あなたは死なない。

 

 

わかってるよ。

冗談だ…。

帰るぞ、北に帰る…。

 

まずは酒だ。

酒をくれ。

 

酔って酔って

眠らせてくれ。

 

夢をみたいんだ。

気持ちのいい未来の夢…。

 

私も会いたい。

チビとあの人に…。

憧れの…、に…、生まれ変わって…。

 

会いたいんだ…

 

ーーーー⭐ーーーー

プツン

 

 

 

おしまい⭐🍎

 

ー備考ー

このおはなしの曲のリンクはこちらです。

曲あり、曲なしどちらでもお好みで

お読みくまさい(笑)

 

~戦闘、ワヒトと姫と眼鏡の男

https://youtu.be/0zUE1E3e7Mg

(spangle call lilli line⭐nano)

 

ーぜんまいの部屋各話EDロールの曲はこちらー

https://youtu.be/zx1obWTMksw

(なきごと⭐メトロポリタン)

ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

ぜんまいじかけのなにかの部屋④

これより500年

きつねの姿をみせることは

禁罪とする。

 

異論はないな?

 

 

よし、会議は終了じゃ。

 

酒を…、

 

 

長老!

 

は?

 

禁をやぶった者には

罰はあるのですか?

 

ぐむ…、

うむ、そうだの…。

 

しばらくのあいだ

きつねの記憶…力を消す…、か…。

おやつぬき…、じゃな。

はっはっは!

 

では…

酒を…、

 

長老!

それはちょっときびしすぎや

しませんか!

 

ぐ…、

いや、あのね、

しょうがないでしょ…。

 

今の世はきつねには

よくない状況である。

 

きつねだとばれた日にゃ

何をされるかわからん。

 

それだけならまだしもじゃ、

そのちからを欲する者に

利用されるのは

本意ではないのよ。

 

はい、おわり。

では、

酒を…、

 

長老!

では、にんげんになれと…、

そういうことですか!

 

………。

 

ほわー…、

 

あのね、

にんげんになれとは

言ってないの。

 

きつねの姿になるなって

言ってるの。

わかった?

你明白单词的意思吗?

do you understand?

 

はい、ほら

酒…、

 

長老!…、

それでは、災厄から

人々を救うのは困難に…、

 

 

ぐも…、

おい!おい!おい!

うるさいぞ!

もう、ばか

いいかげんにせい!

 

むやみやたらに、

ちからをみせることは

禁止じゃ!

酒だ酒だ酒だー!

 

長老!

なにもするなと、

そういうことですか!

 

あー、もう、ばか

あんぽんたん

 

優秀な者がどんな目に

あってきたか

おぬしらもみてきたじゃろに!

いまはむりじゃ!

時を待てばかもの!

酒…、

 

長老ー!!

 

ばか!もう!

わざとでしょ!

おもしろがってない?

 

ばれないようにー

うまくやりなさいよー!

って言ってるのっ!

いずれまた、

きつねに理解を示す時代がくる…、

それまで待つのじゃ!酒!

 

長老っ!

 

うるしゃい!

もうー!

わしはしばらく、

この国をでるっ!

でるもん!酒っ…、

長老!

酒っ!

長老!

酒っ!

長老☆

さけっ☆

ちょーろー☆

さけっ☆ミ

ちょろり☆ミ

さけっちょろ☆ミ

ぴーっ!

なんだこり!ばか!

おぬしらも

どっかいけばか!

ばかばかばーか!

消え失せろ!

もう知らないっ!

酒、酒、酒、酒、酒らっちょ☆ミ

にこ⭐

長老ー!!(笑)

ちょ…、酒…、

酒だよー!!(笑)

 

 

🌙………

 

    🌙……

 

 

 

………。

 

なるほど…、

やはり

ここにきたか…。

妖狐…。

 

先生、数は?

 

ふむ、15いや、

17…、ってとこだな…。

 

では…、?

 

 

………。

殺るぞ。

あの方のカタキを討つ!

 

ちからの在る者は

捕らえ封印せよ。

あとは構わぬ。

 

これは、

世を正すための戦である!

 

これより、

妖狐退治を

開始する。

 

囲め!

ここに結界を張る!

 

🌙……

   🌙……

 

 

静寂。

 

 

風がとまる。

内側から音が回転する。

 

すーーう…、。

 

妖狐…

 

風があつまる。

 

🍃~

ふわり…。

 

 

内側に溜まった音が外側へ

はじけ、

音叉の波が

一瞬だけちいさく

大気を震わせる。

 

だいじに抱えた小さな

ぜんまいじかけのなにか。

 

それがカタカタと

ゆっくりと静かに首をもたげ

朱色の瞳に月を映す。

 

妖狐…、

素敵なじかんを

ありがとう。

 

でも、

さようなら。

次は無いよ。

 

刻をつなげ!

ーーーー⭐ーーーー

プツン

 

 

おしまい⭐🍎

 

ー備考ー

このおはなしの曲のリンクはこちらです。

曲あり、曲なしどちらでもお好みで

お読みくまさい(笑)

 

~長老と酒と赤い月

https://youtu.be/PoluoXLKVAc

(なきごと⭐セラミックナイト)

 

ーぜんまいの部屋各話EDロールの曲はこちらー

https://youtu.be/zx1obWTMksw

(なきごと⭐メトロポリタン)

ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

ぜんまいじかけのなにかの部屋③

きつねの住む里が

北の奥地にあり

 

冬でも

温泉のように

ちねつでいつもあたたかい。

 

もともとは

この島国では

守るものとして

慕われつづけてきました。

 

でも、いつからか

悪いものとして

忌み嫌われるようになった。

 

2つにわかれて

あらそうワヒトの国。

 

両勢力の

ちからの

奪い合いに利用されたのだ。

 

力を得られなかったほうは

その力を無効にしたい。

 

そういう事が起きた。

 

人に化けて悪さをする、

白いきつねがいると言い

人々を苦しめたのだ。

 

それは、なんてことはない

人間同士の嘘の付き合いだ。

 

真実はきつねではなく、

にんげんがきつねのふりを

していたのだ。

 

大勢が苦しみ、

大勢が信じれば

きつねは悪のもの。

 

きつねたちは

ずっと

見えない災厄から

この地を守ってきた。

 

しかし、その勢力が

ちからをつけると、

こんどは

きつね狩りが

善とされたのだ。

 

北の奥地に追われた

きつねたちは

そこの土地の人々に

守られ生きている。

 

その北の人々もまた、

忌み嫌われるようになり

その数を減らした。

 

守るものを失った国は

災厄にみまわれ、

最悪な未来へと向かうことに

なるのだけど、

現実として受け入れるしかないのだ。

 

けどね、

それでも毎日

たたかうことをやめたりはしない。

 

そんなものたちが

いたことを

伝えておきたいのだ。

 

守り神へ祈っても

助けてはくれないと

思わないでほしい。

 

毎日、たたかっている。

数が少ない。

 

どれほどがんばっても

救えないぐらい少ないのだ。

 

だから、

伝えなくてはいけない。

 

たたかうこと、

救うとはどういうことなのか。

まやかしを解く目、

じかんの跳躍、

しんじるこころ、

またあした。

そのことばのもつ意味を。

 

 

 

ふう。

ぱたん。

 

疲れたな…。

 

 

 

細身の

いかにもまじめそうな眼鏡の男が

筆を置く。

 

となりでは

酔いつぶれた白い肌の女が

眠っている。

 

けがをしているのか

包帯が

はだけた胸のあたりからみえる。

 

 

細身の男が

月をさみしげに

ちょっとだけ見たかと思うと

 

溜め息をつき、

女の胸元をなおしながら

きつい目でこちらを見る。

 

 

こんばんわ。

いい月夜ですね🌙

 

 

やさしい物腰だが

凍るような目つきに

 

わたしも、無意識に

刀に手を置く。

 

!!

男がなにかを取り出す。

 

ぜんまい?

からくり人形か…?

 

にこりと笑い

たのしげに操りだす。

 

いい月🌙だねー!

すけべなやつもいるね。

ほんと、ほんとおちゃめさんだね。

そうだねとうさん。

は は は は は。

 

男はゆるしますよと

無言のえがお

にこりとわらう。

 

 

なんだ…、

 

なるほど…役者、

旅芸人か…。

 

 

ほっ、と

刀から手を離したその時、

 

しゅるりと

おとこの背後から

なにかがおちる。

 

あっ、しもた…。

 

 

!!!

 

しっぽ!?

きさま…きつねか!

 

めがねをはずし

ゆっくりと近づいてくる。

 

席をたとうとする刹那、

うしろから声がする。

 

そうですけど、何か?

なにを調査している?

 

 

おやすみなさい。

 

あなたのすてきな夜…は

ここまでだ。

ーーーー⭐ーーーー

プツン

 

 

 

おしまい⭐🍎

 

ー備考ー

このおはなしの曲のリンクはこちらです。

曲あり、曲なしどちらでもお好みで

お読みくまさい(笑)

 

眼鏡の男と白い女

https://youtu.be/0zUE1E3e7Mg

(spangle call lilli line⭐nano)

 

ーぜんまいの部屋各話EDロールの曲はこちらー

https://youtu.be/zx1obWTMksw

(なきごと⭐メトロポリタン)

ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぜんまいじかけのなにかの部屋②

優秀な白き若者が

毒を吸い込みいのちを落としました。

 

沼にうかぶ白き者の

なきがらは

天に帰ることなく

この地に残され

 

おなじじかんをさまよう。

 

その沼地のまわりには

霧がつねにひろがり

 

そこを囲むように

美しい花が咲いている。

 

じかんを忘れるほどの

自然の音色が響いている。

 

たくさんの音が調和する。

 

自然の音、水滴、風の音、

その中にカタカタときしむような音が

わびしくも、どこかなつかしく感じる。

平和にすべてが調和しているのだ。

 

 

ちいさな鳥居⛩️を

沼の中央につくり

花をうかべる。

 

せめて、いつかあなたの

憧れのものに

生まれ変われますように。

 

次の白き者たちが

彼を称え、

地をかけてゆく。

 

500ねんの約束。

そこにつなげていく。

 

さいごの1人になったとしても

そこにつなげたい。

 

さいごにきぼうは

ひとつだけ残したのだ。

 

 

なにもしらない

ちびきつね。

 

のんきものがまだひとり。

なにかの部屋で体育座りしてる。

 

この世界から

すこしだけじかんが

遅れてついてくる

なにかのお部屋。

 

おんせんにうかぶ

ゆるい桶のように

ぽちゃぽちゃと

はゅはゅと

ゆるいじかんが

ながれている。

 

ちんまり。

 

ちちゃいこぎつねが

ぽつんとすわる。

 

はゅー…

ずっとおなじじかんに

つなぐのはでけたけろ…

 

めんどくさかたー!

うぼわーっ!

あまいたべたい!

たべたいよう。

 

ぐむ…。

結界?けっかい、ていったっけこれ

計算がむつかしい!

もうやだ。

ねむいっ

 

 

ぜんまいじかけの機械と、

ビーカー、オシロスコープ

ぬいぐるみ。えほん。

おもちゃいろりろ。

 

彼が残してくれたものが

物置に

たくさんある。

 

 

 

 

 

 

ぜんまいすいっちおーん!

ぽち⭐

カタカタ…

 

あふー…。

ころんと

天井を向き

 

ぱらぱらと

彼の残した

きょうかしょをひらく…。

 

あー…

浄化作業と毒の研究に

500ねんかぁ~…

長いよ!

長い!飽きた!

 

ぷゃ~…

 

もう、寝る!

 

くうかん閉じ、

どれだっけ…。

ぜんぜんわかんない!

 

あ、これか、、

 

おやすみなさい⭐

すてきなゆ…

ーーーー⭐ーーーー

プツン

 

 

おしまい⭐🍎

 

ー備考ー

このおはなしの曲のリンクはこちらです。

曲あり、曲なしどちらでもお好みで

お読みくまさい(笑)

 

~白き若者のやくそくに繋ぐもの

https://youtu.be/pKEyFMB6a30

(古川本舗⭐ 春の)

 

 

ーぜんまいの部屋各話EDロールの曲はこちらー

https://youtu.be/zx1obWTMksw

(なきごと⭐メトロポリタン)

ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぜんまいじかけのなにかの部屋①OP~プロローグ~

ぜんまいいっこと

256個のはぐるまがあて、

 

最初のいっこがうごくと

256個がぎざぎざを伝えながら

うごきだちた。

 

なにがおきるわけでもなく

ただくるくるとまわるのだ。

 

じかんがすぎることを

きれいにみせるためにつくた。

 

うつくしいはぐるまたちが

おどりだし

カタカタと音をたてる。

 

オルゴールのように

はぐるまがうごき、

音がなるせかい、

ただそこでまつのだ。

 

ひまだ。

 

ぎしぎし、

ひまだから、

音が変わると

わかるようになた。

 

あぶらさす。

それのくりかえしだ。

 

そのうち

ねずみがすみついては、

くりかえしくりかえし

あたらしいいのちにかわた。

 

 

よくわかりますねと

いっぴきの

ねずみが言った。

 

そりゃあわかるよ。

ひまだからね。

 

ふーん。とねずみは

きょうみなさそうに

かえります。

 

やれやれ、

ねずみというのは

ほんとうにせわしないんだから。

 

でも、いなくなると

さみしいもので

カタカタと音をたてる

はぐるまたちをぼくは

さみしげにみつめるよになた。

 

ただ音をたてるはぐるま。

そこにねずみの声がいた。

 

いまは、もうねずみはいない。

カタカタ同じ音のはずなのに。

 

ふう。

がたがたと

はぐるまたちがへんなおとをたてる。

 

いままでにないおとだ。

なにかがおきたおとがした。

 

きた。

ここだった。

やっぱりここにきた。

 

はぐるまをとめる。

みつけた。

 

ながいじかんひましててよかた。

いこう。

 

はしらないとておくれになるぞ。

 

じかんをかけて

じっとまってた。

ここからは

じかんをなるべく遅くする。

 

 

うしろにとぶ。

がたがたのうしろのじかんにとぼう。

 

みえる。

ちゃんとみえるよ。

 

毒をはくなにかがいる。

つかまえた。

 

そっちになげて。

にげられる。

 

どっちにいけばいいの。

まえ?うしろ?

 

うしろだよ!

ぜんまいの!はぐるまの…。

うごきだすまえ!

 

そこの部屋につれてく!

 

どくどうするの?

 

つかまえて

とじこめて

ずっとおなじじかんにつなぐ!

 

あい!

行って!

 

わかった!

いっぱいもれたよ!

 

あとはわたしが

なんとかする!

 

あい!

わかった!

お気をつけて☆ミ

 

 

500ねん後にまた

会いましょう!

 

はいはい。

またね。

 

ーーーーー⭐ーーーーー

プツン

 

 

おしまい⭐🍎

 

ー備考ー

このおはなしの曲のリンクはこちらです。

曲あり、曲なしどちらでもお好みで

お読みくまさい(笑)

 

~ぜんまいじかけの何かのときを待つ

https://youtu.be/lY7FWpdFsOo

(DOD3⭐ 最後の歌)

 

 

ーぜんまいの部屋各話EDロールの曲はこちらー

https://youtu.be/zx1obWTMksw

(なきごと⭐メトロポリタン)

ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おでこの部屋

おでこの部屋は

 

おすしの部屋とは

毛色がすこしだけちがうことを

やりもす☆ミ

 

おもに、もじやみに小説、まんがでぽ⭐

 

むかしから

おでこもじのファンだたかた向けに

 

あのときの

あのこたちはいまどうしてる?

 

というかんじで

でてくるかもしれません。

 

 

だいたいはっぴーえんどに

してあげたいかんじで

つづいていますぽ⭐

 

 

ありがとうごまいます。

とくにふかい意味はございません⭐

 

かきたくなたら、かきもす🌟

あどゅー☆ミ

 

 

 

 

 

短小説~ループの人~

ーーーーーループの人ーーーーー

 

たったひとりを救うために

何度じかんをループしたのだろう。

 

何度ループしても

その結果は変わらなかった。

 

いま思えば、

戻したいのは結果がおこるまで

時間じゃなかった。

 

変化。

 

事が起こることを

止めるための変更ばかり

考えていた。

 

でも、

何をしても

何を変えても

同じ結果になる。

同じ結末を迎える。

救うことはできないのだ。

 

 

何度目かのループで

あきらめた。

もう、変わらないのだと

こころを閉ざした。

 

変わらないことと、

何度も起こる同じ結末に

痛みが増すばかり。

 

それならば、

もういっそ受け入れていれば

よかったのだと

思った。

 

そのまま、ただ時間だけが

流れては消えていきます。

 

何かを思いついては

救えるのではないかと

思って巻き戻した。

 

しかしだ。

自分はそれで楽しいのかと

いうと、違った。

 

ただ苦しい。

 

じぶんが苦しんでいる。

 

それでは何も救うことはできないのだ。

ゆっくりと息を吸い込み

何かをとりもどす。

 

楽しむのだ。

楽しむのだ。

救うことを楽しむのだ。

 

何度ループしても

変わらなくても楽しむ。

2人でいられるじかんを

楽しむのだ。

 

 

同じ結末になるとしても、

最後が笑えるようなら

同じではないのだ。

 

しあわせそうに

ゆかいに

笑っていれば

それでいい。

 

ぜんそくりょくで

走るように笑って

手を繋ぐ。

 

もうなにもない。

ただそこで笑っていただけだ。

 

救えただろうか。

結果はおなじだったけど

さいごは変化した。

 

笑っていたのだ。

 

ならじぶんも

笑っていられるかなあ。

 

楽しかった。

ただ、それだけだ。

 

もう、ループはしません。

やり方も忘れた。

 

結果だけみると

何もかわってないかもしれない。

 

でも、

意味はなかったわけじゃない。

何かが変化した。

自分もよくわからないけど変化した。

 

やれることは

やったのだ。

なんどやってもむりだわ(笑)

って

2人で笑ったのだ。

 

さようなら。

でも楽しかった。

ありがとう。

 

ぼくは

もう苦しくない。

 

おなかがいたくなるほど

笑い声をだしたからだ。

 

それでいい。

わかった。

 

はい、

それじゃ、残りはすべて

ぜんそくりょくで

いっしょに楽しもうか。

 

ははは。

 

ーfinー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆるぱわぶっく誕生秘話。




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よもやま
雑誌すたーしーどらいふ話。

 

本日、創刊されましたー☺️
ありがとうございもす!

みなさん、ほんとうにおつかれさまでした。

編集作業していただいている方々のがんばりを
見てきましたので
感慨深いものがございもす。

 


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おもに、
ゆるぱわぶっくのほうに
おりましたので

ぼくからはゆるめに
ゆるぱわぶっくの秘話を
おはなししてみようとおもいもす🌟

 

 

 

ーゆるぱわぶっく裏話ー

 

 

それは、わたくしが
だんぼーるスタジオをつくろうと想い、

各所からだんぼーるをあつめて


うわー、
運ぶの、ゆびがちぎれそ!て
いたい想いをしていた
ときでした。

 

 

もう、しばらく
だんぼーるは運ばない!
もう、ぼくがだんぼーるに
運ばれたい!

 

そうおもい
おすしはお部屋を
ごろんごろん転がっていました。

 


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そんなとき、
アート会で
ふしぎな線にであいました。

 

 

三上知夏さんのぺんの線に
なんかこれは
ひかれるなぁ~☁️て
おすしのあそびごころが
わくわくさんを呼びました。

 

ごろりはいませんでした。


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おすしは
これは楽しそう!てなり
色をつけてみたところ、

 

サヨSAYOさんに
もふぁ!ふぁ!
も、も、も、これはー!!!と
言われ、

 

保存しる!していい?
額にかざる!となり

わたくしは、
いいよー☆ミ(軽い)

 

て言ったのが
はじまりだたのかも
しれません(笑)

 


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そして
知夏さんが
ひゃー!色がついてる!ありがとー!て

 

サヨさんが描いたものだと思い
サヨさんに連絡がいきましたぽす(笑)
ゆるい(笑)

 

 

ごめんなさい。
ぼくでした(笑)🍣

 

 

それから、
井上明子さんも色をつけてみたり
していただいて


うわー!きれい!
てなって

もちゃもちゃしていたところ

 

 

サヨさんから
えほんにしたいぽよん!!☆ミ🍣と
言われまして

 

わたくしどもは
ウキウキして
いいよー(軽い)ってなりました。


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それから、おすしもじを
もらっていーい?

 

つけたい☆ミ ってなって

いいよー😋(軽い)
てなて

 

どんどんたのしいふわりが
ふくらんで
かわいいものになりました。

 


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ぼくは、さしあげただけな感じでしたが

 

編集されている方々や
作品にしてくれている方々のがんばりを
見てきましたので

 

それができあがたいま、
とても、うれしくてなりませんずた。
🎪🎠🎢♨️

 

 

しおさん、Akoさん、みやこさん
サヨさん、知夏さん、明子さん
そして、まいかさん
おつかれさまでした!

 


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みなさん、おつかれに
なってきているのが見えたので


これは、
わたくしもなにかしようと思い、

こすしもみなさんを
応援したのでした(笑)

 

 

それがこの動画の

こすしです☆ミ

https://youtu.be/47NYPWKSIDM

 

 

 

 

そんなこんなで
いろんなかわいいと大好きと
いろんなご縁がつながり

 

こすしの
みんながんばもじゃーも、
ちょとつまった
ゆるぱわぶっく。

 


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ぎりぎりさいごに
しらゆきさんとわたくしの
ゆるいこらぼが
ぴーひょろりーと入りましたが
ほんとうに
入れるつもりで
こらぼしたわけじゃなかた(笑)

 


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さよさんもお疲れのなか
おぽぽー!
これは名曲だーっ!
これつかっていーい?てなり

 

しらゆきさん&おすしが

いいよー😋😋(やっぱり軽い)となり
おまけも完成です☆🍣

 


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ほんとうにみなさん
おつかれさまでした。


サヨさんはほんとうに
すごい。

 

わたくしのあそびを
もりもりのてんこもりに
ふくらませてぎゅっと
大好きわーるどにしてくれやした。

 


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声も入り、スーパーこらぼ祭りな
ゆるぱわぶっく。


涙でゴリラがとまりません(笑)

 

そのまえからもう
とまりませんでしたが

読んでたのしんでいただけたらなと
思うのと、
すごくたのしかったなぁって
おもうのです。


f:id:odeco90:20200708221242j:image

 

わたくしはこんなふうに
だれとでもこらぼしてあそびたい。

 

あーそぼ☆ミって言ってくれたら
よろこんであそびます。

 

あそぼう。


わたくしがしたいのは
ただ、それだけなのです。

 


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あそんでくれて
ありがとう!

 

たのしかったなぁて
おねむしたい。

 

ただ、
それだけなおすしでございます(笑)


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まいかさんも、おつかれさまでした。

 

ゆるいかっぱ巻き
受け入れていただき
ありがとうございました(笑)

 

 

みなさんの記事もかみしめて
かみしめて
読みたいとおもいます。

 


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たずさわってくれたみなさん。
読んでいただいたみなさん。

 

さいごに
こすしを見ておだやかに
おすごしください。


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ぼくはただゆるかった(笑)
ごめんなさい🍣😋

 

 

ありがとうーありがとうー

ひとしきり走って泣きながら
読んで聞きます。

 


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すてきな
七夕の夜を☆ミ


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ちょと!

こすし!

 

 

いま、

だいじな話してるの

じゃましないで!

 

つづく

ぐまのお花手帳


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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

星見綿ではないけれど

 

ぐまからもらった

一輪だけのお花には

 

お星さまを

みせてあげる。
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忘れても

そこにあるもの。

 

だれにもらったものかは

忘れても

なにかがあることを

感じるからも☆ミ

 

 

オハヨー!

オヤスミナサイ!

 

オカエリ!

ダイマ

 

 

我一直在这里等你☆ミ

 

Somewhere in my heart, you are calling for me.

 

 

ーfinー

 

~alsoゆるい🐷继续~🍓

 

 

 

 

よもやまお絵かき裏話

よもやまお絵かき裏話

 

森のくまさんをもちーふに

かいております(笑)

 

めいん軸は

ぐまといちごのすぷーんをもった女の子の

おはなしであります。


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げんじつでは

にんげんに、にてるけど

にんげんとはちょとちがう種の

女の子のお兄ちゃん。

それゆえにいろいろはくがいを

うけてしまいます。

 

そんなこんなで

女の子はこのげんじつのせかいには

もういません。

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ひとりになっちゃった

お兄ちゃんは

とげとげして

いつも悲しそうです。

 

 

はくがいをしりぞけて

すべてやりきったあと

こころのなかには

なにもなくなて
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ぬけがらになって

しまいます。

 

なにもなくなったとき

 

ぷわーと

かわいい声がきこえてきます。
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ぐまーいた!

 

女の子はひとりで

べつの

ゆるいせかいに住んでいたのでした。

 

でも、

きおくはいちにちしか

もちません。

ねるとわすれる。


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じつは

ずっと、呼んでいたのです。

 

 

まいにち、いっかい

ぐまとおはなしをしては

ねこをおいかけて、

お花を探しに

おさんぽをするまいにち。

 


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そんな

ゆるいせかいを作ったのは

お兄ちゃんの夢のなかでした。


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こんなせかいで

暮らそう~

 

ふたりでのんびりすごそう。

そうねがう

夢のせかいだたのでした。

 

想像、創造、クリエイティブのなかに

せかいがもうひとつ。


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よぶこえにこたえるように

 

もういちど、

ちゃんと創造しよう。

 

お兄ちゃんは

ねむりながら

おくふかくをたんけんします。

 

 

 

ぐるぐるのなかでも、

 

女の子の

たましいはそこに

いつも、あったのでした。

 

 

しかし、しかし、

あれあれま。

お兄ちゃんは

夢のせかいでは

くまのすがたになっちゃいます。


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あれー、

ことばもつうじません。

 

ぐまは、女の子を

こわがらせちゃいけないと

思ってこっそりみまもります。

 

でも、女の子はぐまがだいすき。

いつも、いっしょにいたいのでした。
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そんなこんなで

ことばはつうじないけど

ぐまは女の子をみまもりつづける。

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女の子はぐまがだいすき

だけど、

いちにちたったら

すっかりぽっかりぐまをわすれる。


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すれちがいだらけだけど

お互いには

つうじあっているんだよ。

という

はがゆさゆるさ

みたいなほのぼの

森のくまさん。


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それでもけして

ふこうではなくて

おたがいにやりたいことをやり、

ささえあえていて

 

ふたりはしあわせなじかんを

すごしているのです。

 

ずんずんと、

ゆるぐまさんになっちゃったので

ふわっふわであります。



へんてこないきものや

おじいちゃんもでてきます。


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ことばも、ちゅごくごやら、

えいごやら、おすし合わせもじが

ゴロゴロでてまいります。


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これ、なに語?っていう

いみがつうじてませんという

ことばがたくさんでます(笑)



 

ういー、というわけで

てきとうなゆるいせかいです。


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どうなることやら

ゆるいゆるい

裏設定の

お絵かき裏話でございました。

 

そんなにはふかくありません(笑)

てきとうにゆるくいきております。

 

 

はこにわおすしわーるど
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花とおんぷとゆるいいきものたちが

じゆうにたのしく、くらしています。

 

 

はいー

ありまとうございました。



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ー余談ー

過去にかいたものを

いまの視点で、もういちど的なことを

やりはじめております(笑)

 

お兄ちゃんのおはなしと、

ぐまいちご🍓のおはなしは

別々のタイトルで

明確なつながりは明言しておりませんでした。

 

じぶんでもまた

気づいたこともあり、

パラレルがふえております(笑)

 

むかしが好きな方は

そちらをこころに残しておいてください(笑)

 

これからはほのぼのとした

にゅーわーるどとなります。

ごめんなさい(笑)

 

 

 

 

 

 

にっぽんすこし昔ばなし1



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昔話になにかを
つけくわえてみる。


むかしむかし
あるところに


おじいさん達と
おばあさん達が
住んでいました。


おじいさん達は山へ
しばかりに。

おばあさん達は
川へ洗濯に。 


おばあさん達が
洗濯をしていると

川から
どんぶらこ
どんぶらこと

桃達が流れてきました。


多いな。
と思いましたが

おばあさん達は
桃達を拾いました。


何個かは
拾いきれずに
流れていきました。


何人かは
桃を二、三個取りました。


よくばりさんね。

 

おばあさん達が
それぞれ家に帰ると

おじいさんと一緒に
桃を割りました。

 

皮は剥かないのね。

おじいさんは
内心、思いましたが
言いませんでした。

 


すると
桃の中から
元気な男の子が
飛び出しました。

 

各家庭の
おじいさん
おばあさんの家から


ぎゃあー!とか
うわー!とか
驚きの声が
あがります。

 

何人かは
腰を抜かし、

何人かは
寝たきりに
なりました。

 

こうして
なんやかんやで

各家庭の桃太郎達は

すくすくと成長する子や

ぐれる子をだしながらも


鬼退治に
いきます。

 

 

各ご家庭の味

きびだんごをもって。

 

 


桃太郎達は
旅の途中、


猿達やキジ達や
犬達を仲間にしました。

 


中には
臼や蟹を仲間にしたりする者や、


大きな黒い馬を
手なずける者も
いました。

 

 

おにがしまに
ついた頃には

大軍団となっていたので


兵糧が尽きて
飢える者もいました。


鬼達との戦いは

消耗戦になり

苦戦しましたが

 

桃太郎達はなんとか
勝利を勝ち取りました。

 

そして

帰らぬ桃太郎となった
桃太郎もいましたが、


各家庭に帰ってきた桃太郎達は


おじいさんと
おばあさんに
言いました。

 

 


名前


変えてくれよ。

 

みんな桃太郎じゃねーか!

 

 

そう、

桃から産まれた者達の

宿命。

 

それが

桃太郎伝説

 

桃太郎伝説です。

 


そして

デカメロン伝説へ。

 

 

完。