しろきつねおすしー図書館

おそうざいコーナーみたいなぶろぐ

ぜんまいじかけの何かを繋ぐ者④

霧深いきつねの里

皆が寝静まる丑三つ時、

 

パキパキと

何かが割れる音と共に

いつか見たような

オロチが里に現れる。

 

ゆらゆらと

周囲の霧を振り払い

首をもたげると

月を見上げ咆哮する。

 

寸裂くような

低音と高音が同時に

地面と空間を揺らす。

 

なんだ!?

皆が慌てて外へ飛び出す。

が、

それは今まで対峙してきた

異形のものとは違い

実体を持っている。

 

硬い鱗を持つ魔獣だ。

なんだ!?

何が起きた?

 

あの時、あの方が

葬った筈では!?

 

あの方がいない時に現れるとは!

 

オロチは周囲の木々を薙ぎ倒しながら

月の方向へ破壊を繰り返しながら進む。

 

いけない!

狙いは

カムイの山か!

 

すかさず姫が

飛び出してゆく。

 

姫!!

近づいてはいけない!

オロチには毒がある!

 

うるせぇ!

だまれもやし!!

あたまでばっか考えるグズめ!

だから嫌なんだよ!おまえは!!

 

わたしはここにいる!

ここで生きているんだ!!

 

 

なんだ?

泣いてる!?

姫!!

 

皆がオロチを追う。

長老がちからを解放し

大きな銀のきつねとなり空を駆ける。

 

長老の鋭利な牙が

オロチの複数の首に食らいつくと

里の者もそれに続く。

 

止まれ!異形の者!!

長老の牙がオロチの鱗を砕く。

 

月の丘を目指したオロチは

身動きが取れずにその場に倒れこむ。

 

静まりかえる周囲に

長老が言う。

 

こやつは、毒を持っている。

鎖に繋ぎ封じておけ。

 

天狗の里のきつねたちにこのことを伝え

至急、解毒し封印するのじゃ。

 

この事がワヒトに知れてはならぬ…。

では、酒じゃ。

 

まて!じじい!!

 

は?

 

姫!!

 

封印?ふざけるなよ!

これはオロチじゃない!!

きつねだ!

 

 

!!!

 

なに!?

 

このオロチがなにしたってんだ!!

ただ月…、

カムイの丘を目指しただけだろ!!

毒なんて持ってもいない!

 

 

そう言うと意識を失うオロチに

抱きつく。

 

怖い夢をみたんだな。

だいじょぶわたしはここにいる。

 

こんな酒くさい口に噛まれて

かわいそうに…。

くさっ!くっさ!

しじぃおぼえてろよ!

 

姫!それはあなたもでしょ!

 

ずきん。

ちくしょうだまれもやし!

 

お前らはもう行け!!

わたしがこの子をカムイにつれていく。

 

しかし!

 

だまれってんだもやし!

埋めるぞ。

 

 

よく見ろよ。

この子はあの人とおなじだ。

数字が書いてる!

6677

11224444

741 11411

 

!!

 

姫、あなたは

この文字がわかるのですか。

 

わかんねえよ!

でもなんかわかるだろ!

 

 

ーーあいかわらずだ。

わたしにだけ解けない問題を

あなた方はいとも簡単に解いてゆく。

 

理由はわからないが

あの方は「じぶん」を葬りに

ここに来た。

ということか?

 

しかし、

なんだ?

なぜ?姿を変える。

原因があるのか?

オロチとはなんだ?

 

ん?

姫…?

 

キャピー❣️

かわゆな声がきこへる…。

いこういこう

いっしょに月の丘にいこう。

いいこいいこ。キャピー❣️

 

あ、ぁあ、

姫…、

酒の飲み過ぎでは?

 

うるせー!

だまれもやし!

おまへの声は聞きたくない!

 

そう、言うと月の方角へ

異形の者と、とんでゆく。キャピー❣️

 

 

待って!

わたしも行きます!

 

おまへはいらん!

来るな!!

嘔吐が出る。

げふゎ!

 

 

うゎ…姫

ほんとに吐いた!

酒飲み過ぎ…。

 

 

ーーーー🌝ーーーー

ぽゃ。

 

 

 

 

ーーカムイの住む山で

白髪の初老の男が目を覚ます。

 

 

月の…、。

綺麗な月夜だな…。

ここは、カムイか。

 

どのぐらい寝ていた?

……。

 

虹色の光が、丘の向こうで揺れている。

次は、あそこか…。

先程まで見ていた夢が

朧気になる。

 

あれは夢か。

あんな記憶はわたしにはない。

まぼろし…。

 

しかし、あの方の違和感は

オロチ…。

いや、。

 

……。

 

思考が錯綜しているな…。

真実ではないが、幻でもない気もする。

右腕にちからを込め

からだを起こそうとするが

ちからが全身に伝わりきらず

その場で力尽きる。

はぁ、日に日に、こうなるのか。

 

どうした?

目覚めたのか?

 

隻眼の男が訪ねる。

 

ああ…、あなたですか。

いや、まだ眠い。

 

もう一度、

お二人がいるあの夢の中へ。

まぼろしでもいい。

いまはどんな形でもいい。

仲間に入れてくれませんか。

変えなければ、。

あなた方に会えない。

 

 

長髪の男が隻眼の男に

眼で訪ねる。

 

長髪の男がやさしく微笑むと

その場から席を外す。

 

いよいよ、ですか。

歯車は再び、まわり始めた。

 

時代が変わる。

この国の姿が変わるのは

もうすぐですね。

 

だれが、予測できましたか。

だれもがあたりまえだと、

思っていた時は終わります。

 

吸い込みから転じ、

螺旋状の平行回転へと変わる。

 

楽しみですね。

このときを長い時間をかけて

待っていました。

 

…、せんせ?

もう、寝床へ行きますよ。

 

わかった。

ありがとう。

素敵な夢を。

 

おやすみなさい。

また明日。

 

 

🌝

 

ーーーー📖ーーーー

パタン

 

 

 

つづく⭐🍊

 

 

 

ー備考ー

このおはなしの曲のリンクはこちらです。

曲あり、曲なしどちらでもお好みで

お読みくまさい(笑)

 

~オロチと姫と繋ぐものの夢

https://youtu.be/N_p3HT70dU8

(March of time⭐ Aimer.ダズビー)

 

 

ーぜんまいの部屋各話EDロールの曲はこちらー

https://youtu.be/zx1obWTMksw

(なきごと⭐メトロポリタン)

ありがとうございました!