しろきつねおすしー図書館

おそうざいコーナーみたいなぶろぐ

ぜんまいじかけの何かを繋ぐ者②

樹海の中、

青白く濁る空気を

切り裂くように

女の怒声が木霊する。

 

失せろ

おらぁ!!

 

土の中から次々と現れる異形のものを

吹き飛ばす。

 

両手両足から繰り出される

衝撃と舞いは

白い蒸気を纏いながら

円状に環をつくる。

 

 

姫!!

そんなの相手にしてたら

きりがないですよ!

 

 

眼鏡の男が目的の場所へ

駆けながら叫ぶ。

 

 

うるせぇな!

わかってんだよ!

 

そう言いながら

小さく少し息を吸い込むと

くるりと白く美しい狐の姿に変わる。

 

そのまま異形の者を

吹き飛ばしながら駆ける。

 

ははははは!

もやしよ、

わたしのほうが速いぞ。

 

速くてつおくてかわいいのが

わたしだ!

はーっはっはっは!

 

ちょ、姫(笑)

なにそれ

ずるい。

 

 

さっさと終わらせて

北に帰るぞ!

 

あのひとが

待ってる!

 

うふは!

ぴょんぴょん!

 

 

ちょ、姫!

速っ(笑)

 

さっきまで

ぐだぐだ憂晴らししてたのは

あなたでしょ!

 

 

ははははは!

しーらない☆彡

 

 

 

ーーはぁ、

姫、あなたは

いつも、楽しそうだ。

 

まっすぐで、

わがままで、

世話が焼ける…。

 

 

何度、あぶない目に

あわされたかわからないな。

 

でも、

それでも正直に

真正面から

ぶつかっていくあなたを見て

わたしも楽しかったのはまちがいない。

 

もやしか…。

ちょっとイラッとするな(笑)

 

 

姫!!

上に飛んで!

下からでかいのがくる!

 

 

うるせぇなもやし!

おまえに言われなくても

もうやってる!!

 

 

くるりと回転すると

地面を蹴り上げて人の姿に変わる。

 

唇を噛み

その血をこぶしに吹き付ける。

 

おら!もぐらさん!

もぐらたたきのじかんだぞ!

 

でも!

でてくるまえに終わりだけどね!っと

 

そう言い終わる前に

地面に突進したかと思うと

衝撃と共に

閃光がはしる!

 

ちょ、姫!

おい!やりすぎ…

 

!!!

 

白い無数の蒸気の光を吹き上げて

竜を模した何かが

異形の者を咥え天に昇る。

 

それと同時に眼鏡の男も

天に吹き上がる。

 

うわぁー、

 

ひ、

姫の!

ばかやろうーー!!

 

 

あ、すまん。

骨は拾ってやるから

安心しろ。

キャピー❣️

 

 

 

 

ーーーはぁ、

やれやれ、

わかってますよ姫。

 

わたしがこの程度で

くたばらないこと知ってるし、

 

ちからを抑えつつ、

完全に消滅できる方法で

やるってことでしょ(笑)

 

 

はいはい、

めんどくさいお方だ。

 

 

はぁ、眼鏡がずれたな。

よいしょ。

 

さて、やるか。

 

 

眼鏡の男は軽く鼻で息を吸い込むと

両手をくるりとまわし

手を合わせる。

 

姫、良い位置に飛ばして

頂き感謝します。

 

 

異形の者は身動きが取れずに

環の中へ圧縮され消滅する。

 

 

ーーーー⭐ーーーー

プツン

 

やれやれ…。

終わったか。

 

 

分裂を繰り返していた異形の者が

消滅し、

あたりに静けさが戻る。

 

ふぅ、

これで、しばらくは

この地の地盤も安定するでしょう…。

 

しかし、姫…。

やる前になんか言って…

 

あれ?いない!

うわ、

先に帰ったな!

 

ーーーあの、ばか姫っ(笑)

 

遠くで白いきつねが

笑いながら跳ねていくのが見える。

 

まったく、またこれだ。

あの方に

会いたくてしょうがないのかよ(笑)

 

 

追いかけると、

ばーかばーか

もやしのばーかと

聞こえなくても言ってるのがわかる。

 

でも、わたしのほうが

一枚上手だよ。

 

あなたのだいじなものを

腰から奪ってあります☆

 

うんうん、

酒はすべて

このわたしが持ってるんですからね!

ははははは!

 

 

姫が気づかずに

喜びながら駆けて

小さくなってゆく。

 

 

ーーーはぁ、

わたしの眼に

その嬉しそうな

にくらしいような

姿が焼き付いている。

 

何度も何度も

見てきた。

 

いつも、楽しそうに

跳ねてる。

それが失われる姿もだ。

 

~~☁️

     ~~☁️

 

        ⛩️🍵

 

 

 

 

 

ーーー白髪の初老の眼鏡の男が樹海に立つ

 

鳥居をくぐり、

酒を飲み干すと

ちいさなプリズムの環の中に

その記憶を閉じ込める。

 

たましいのような形をしたその石は

静かに淡い色へと変わる。

 

さて、帰ります。

次はどこです?

 

うん、でも、

教えてはくれないのでしょ?

 

いやはや、

あなたは昔からほんとに

意地が悪いな(笑)

 

飽きませんけどね…。

 

でも、わたしも

もうそろそろ歳だ。

いろいろと衰えてきてるんですよ。

腰も痛いし、眼もとおくなってきた(笑)

 

それでも、あなたの残した未来の希望に

繋げたい…。

 

教えてくれませんか…。

時間が足りない。

このままでは

届かないかもしれません。

 

もう、失いたくないんだ。

変えなければ!

命を懸けて、

跳躍をしてでも…!

 

!?

 

なんだ?

大勢の兵の匂い…。

 

やれやれ、またか。

囲まれたな…。

参ったな。

 

話はまた今度、

という事ですね。

 

わかりました。

 

はぁ、

老体に鞭を打って、

本気をだすしかないか…。

 

 

では、また会いましょう。

 

 

白髪の男がスンっと小さく息を

吸い込み姿を消す。

 

残された鳥居の中、

どこからか

カタカタと何かが動き出す。

 

 

ーーーー📖ーーーー

パタン

 

 

 

つづく⭐🍊

 

 

 

 

 

ー備考ー

このおはなしの曲のリンクはこちらです。

曲あり、曲なしどちらでもお好みで

お読みくまさい(笑)

 

~姫と繋ぐ者の虹の石

https://youtu.be/qvGAePHDVGg

(ハシタイロ⭐ダズビー)

 

 

ーぜんまいの部屋各話EDロールの曲はこちらー

https://youtu.be/zx1obWTMksw

(なきごと⭐メトロポリタン)

ありがとうございました!