しろきつねおすしー図書館

おそうざいコーナーみたいなぶろぐ

短小説~ループの人~

ーーーーーループの人ーーーーー

 

たったひとりを救うために

何度じかんをループしたのだろう。

 

何度ループしても

その結果は変わらなかった。

 

いま思えば、

戻したいのは結果がおこるまで

時間じゃなかった。

 

変化。

 

事が起こることを

止めるための変更ばかり

考えていた。

 

でも、

何をしても

何を変えても

同じ結果になる。

同じ結末を迎える。

救うことはできないのだ。

 

 

何度目かのループで

あきらめた。

もう、変わらないのだと

こころを閉ざした。

 

変わらないことと、

何度も起こる同じ結末に

痛みが増すばかり。

 

それならば、

もういっそ受け入れていれば

よかったのだと

思った。

 

そのまま、ただ時間だけが

流れては消えていきます。

 

何かを思いついては

救えるのではないかと

思って巻き戻した。

 

しかしだ。

自分はそれで楽しいのかと

いうと、違った。

 

ただ苦しい。

 

じぶんが苦しんでいる。

 

それでは何も救うことはできないのだ。

ゆっくりと息を吸い込み

何かをとりもどす。

 

楽しむのだ。

楽しむのだ。

救うことを楽しむのだ。

 

何度ループしても

変わらなくても楽しむ。

2人でいられるじかんを

楽しむのだ。

 

 

同じ結末になるとしても、

最後が笑えるようなら

同じではないのだ。

 

しあわせそうに

ゆかいに

笑っていれば

それでいい。

 

ぜんそくりょくで

走るように笑って

手を繋ぐ。

 

もうなにもない。

ただそこで笑っていただけだ。

 

救えただろうか。

結果はおなじだったけど

さいごは変化した。

 

笑っていたのだ。

 

ならじぶんも

笑っていられるかなあ。

 

楽しかった。

ただ、それだけだ。

 

もう、ループはしません。

やり方も忘れた。

 

結果だけみると

何もかわってないかもしれない。

 

でも、

意味はなかったわけじゃない。

何かが変化した。

自分もよくわからないけど変化した。

 

やれることは

やったのだ。

なんどやってもむりだわ(笑)

って

2人で笑ったのだ。

 

さようなら。

でも楽しかった。

ありがとう。

 

ぼくは

もう苦しくない。

 

おなかがいたくなるほど

笑い声をだしたからだ。

 

それでいい。

わかった。

 

はい、

それじゃ、残りはすべて

ぜんそくりょくで

いっしょに楽しもうか。

 

ははは。

 

ーfinー